ウクレレのチューニング。High-GとLow-Gどっちがいいか


昔はカッコつけて音叉でチューニングしていましたが、最近おとなしくチューナーを使うようになったtakaraです。

「ウクレレのチューニングは「花子さーーん」というふうに覚えるといい」と言う話をよく耳にしますが、そんなん覚えてどうするんですか。チューニングできるわけ無いでしょ。そもそも、花子さんをそんなイントネーションで呼んでる人も見たことないし…。

ウクレレにはHigh-Gチューニングという、いわゆる花こさーんチューニングの他に、Low-Gチューニングという4弦のGをオクターブ低くしたチューニングが有ります。

理由があるから2つあるんですが、なにが違ってなにが良いんでしょうか。

High-G・Low-Gの特徴

まず、巷で言われている2つのチューニングの特徴をざっとおさらいします。

High-G

High-GでC6(開放)

・由緒正しいスタンダードチューニング、全体的に高音になるのでウクレレらしいコロコロした雰囲気が出せる

・ダウンストロークとアップストロークで音のニュアンスに差が出にくい

・楽器屋さんのウクレレは基本High-Gなので、慣れていればいつもの感じで試奏できる

Low-G

Low-Gで開放(C6)

・低音が広がるので、ルート音を3・4弦に持ってきたときのコード感がしっかりする。

・4弦→1弦に向けて音程が上がっていくので、自然な運指が可能(ギターからの移行組は特にスムースに入れる)

・High-Gを前提に制作されたウクレレの場合、サドルやナットの溝幅を弦に合わせて調整が必要

ちなみにLow-Gチューニングについては、次の記事でうっとうしいくらい熱入れて紹介しています。参考にどうぞ。

よく「High-Gはジャカソロや弾き語りに向き」、「Low-Gはソロウクレレに向き」みたいな説明を目にしますが、個人的には偏見だと思ってます。

ソロウクレレで圧倒的な表現力を見せる「ジェイク・シマブクロ」は基本High-Gです。初心者向けの教則本でもお名前を目にする「キヨシ小林」はLow-Gで怒涛のジャカソロを披露しています。

結局、2つのチューニングのどちらにしたから何ができるできない、という事はないんだなぁと感心させられます。

さて、ここからは上記を踏まえて少し深ぼった両者の差を書いていきます。

High-G・Low-Gの一番の違いは音域の差

どちらも良いとこ悪いとこのある両チューニングですが、結局のところ一番物を言うのは音域の差です。

Low-GはHigh-Gと比較して、低音側に3度分のアドバンテージがあります。これもう別の楽器ですよ。野球とソフトボールくらいの違いがあります。

・High-G :ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド

・Low-G  :ソ・ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド

では音域が広ければ良いのか?というと必ずしもそうではなく、High-Gは低音が少ないことで、Low-Gには絶対出せない軽やかな雰囲気が出せます。やりたい音楽によっては、低音が鳴っている事が邪魔になるわけです。

上の見出しに書いた両チューニングの特徴の内、他の項目は慣れるとあまり気になりません。両チューニングの絶対的な差は、音域の違いから来る楽器全体の音のニュアンスです。

コードの響きが安定するLow-G

伴奏を弾くときは基本的にコード(和音)を弾くわけですが、この時ルート音をどの弦で弾くかによって、コードの聞こえ方は大きく変わります

ルート音は、○m7や○maj7、○7などコードネームの○に当たる音で、例えばC7ならC(ド)、Em7ならE(ミ)です。

バンドのベース担当者は、主にルート音を中心に自分のパートを展開します。ロックやパンクなどでは特に顕著で、例えばブルーハーツの曲なんか聞くと、ベースの人はほぼルート音しか弾いてません。

やはりルート音(根音)と言うくらいですから、その音はそのコードを支配するわけで、ルート音を低い音程に持ってくるほどコード感は増すわけです。

ウクレレのHigh-G・Low-GチューニングでそれぞれでローポジションでGのコードを弾いてみると、解りやすく差が出ます。

Low-Gの方があきらかに、「はいGです!」と言わんばかりにGのニュアンスが出ます。これはルート音であるGの音が、そのコード中の最低音(4弦)にあるからです。

一方、High-Gだと音が軽いですね。Gの雰囲気は出しつつルート音に縛られないサラッとした雰囲気になります。これはコードの構成音の内、最低音が3弦のD(レ)になっているからです。ちなみにルート音のGは、1弦と3弦で弾くことになります。

ソロウクレレでは特にこの差を痛感しますが、弾き語りの伴奏の場合でも十分コード感に影響します。ということで、しっかりコード感を出したい!という人にはLow-Gをおすすめしたいところです。

ルート音の曖昧さが逆に有利になるHigh-Gチューニング

ここまで読んでくれた人は、コード感をしっかり出せるLow-Gチューニングの全般的に有利な気がしているかもしれませんが、必ずしもそうとも言えません。

前述した「低音が入っている事が逆に邪魔になる現象」です。「ローポジションからハイポジションまで、自由なコードワーク+主旋律を実現したい」という人の場合、あえて低音を際立たせないHigh-Gが向いていると言えます。

ルート音が低音(バンドでいうベースの役割)だと、コード感を出すのには最強です。逆に、ルート音じゃない構成音を低音で鳴らすと「あれ?その音ルート音?」と錯覚します。

例えば、High-GでF9(1→4弦、0・1・0・0フレット)を弾いてみます。はい、とてもキレイなF9です。が、Low-Gで同じポジションのF9を弾いてみると、「なんか違う」となります。

それもそのはずで、上記のF9と全く同じポジションで鳴らせるGsus79というコードがあります。Low-Gだと最低音の4弦でGの音が鳴っているので、Gをルートにしたコードの方が印象強く聞こえるわけです。

上の動画はコード単体で弾き比べているので、若干差を感じにくいですが、曲中の流れでコードを弾くと露骨です。それほど低音で弾くルート音はインパクトが強いんですね。

もっと露骨なのは、ルート音の入っていないコードを弾く時です。Fmaj7を「1弦→4弦、0・0・0・2フレット」で弾き比べてみましょう。

High-Gで弾くとなんとなくぼやっとFmaj7感がありますが、Low-Gで弾くと「これもうAmだろ…」という響きになります。

ちなみに「低音を入れたくないときだけ4弦を弾かず、1~3弦の3音でコードを鳴らす」という手段もありますが、以下の理由から普段使いにはおすすめできません。

・音が1個減る(4弦を弾かない)ので音量が小さくなる

・音が1個減る(構成音が1個減る)のでコードの厚みがなくなる

・ストロークで4弦だけピッキングしない、というのは技術的にけっこう難しい(指弾きソロならそれなりにイケる)

まとめ

どっちもメリット・デメリットのあるHigh-G・Low-Gの話でしたが、結局自分の演奏スタイルに向いたチューニングを選ぶのが良いです。

じゃぁ自分の演奏スタイルって何?となるわけですが、最終的に目指したい自分の好きなミュージシャンに合わせるのが一番簡単でしょうね。

ジェイク・シマブクロみたいに弾きたいという人はHigh-G。つじあやのみたいな雰囲気で弾き語りたいという人もHigh-G。ハーブ・オオタみたいに弾きたいという人はLow-Gという具合です。

ひょっとすると、目指すミュージシャンと反対のチューニングで鍛錬したら、意外と自分独自の表現方法が見つかることもあるかもしれません。

安いウクレレを2本買って、High-G・Low-Gの両方を準備して、どっちが自分にウマが合うか確認してみるのも一つです。

ちなみに僕は、「ジョー・パス」というソロギターでジャズを弾く大道芸人的なミュージシャンが好きなので、Low-Gメインです。でもウクレリストじゃないんだよなぁ…。