チューニングする時の注意点 ピッチが悪い時の改善方法
こんにちは。takaraです。
たびたび言いますが、楽器はピッチ(音程)が合ってて初めて楽器になります。チューニングは何よりも大切。今日は、ウクレレでチューニングするときの注意点の話です。
ウクレレを弾いているとこんな事があります。
「チューナーを使って完璧に合わせたつもりなのに、演奏するとなぜかピッチが合ってない気がする…」
考えられる原因の一つは、フレットの押え方に問題があるケース。フレットを押さえるときに、押えた指で弦を上下に引っ張ってしまうと、本来の音程は得られません(少し高くなる)。
これは指板に対して正面から押さえれば解決するので、演奏技術の問題。
が、チューニングしたのにフレットを押さえると本来の音より低い場合や、正しく押さえているのにピッチが悪い場合があります。これは、チューニングができていないんですね。
正しく言うと、「開放弦で丁寧にチューニングしても楽器全体としてのチューニングはできていない」、という事です。
今日は、この問題を解決するためのチューニング方法を紹介します。ウクレレを買うときに、ピッチのいい楽器かどうかを判断するのにも使える方法なので参考にどうぞ。
開放弦だけのチューニングしても安心してはいけない
教則本を見ると、「ウクレレのチューニングは開放でG・C・E・Aに合わせればOK」と書いてあります。
これが結構くせ者で、言い換えると「開放弦のチューニングを合わせて、あとは楽器自体のピッチの精度を信じましょう」という事になります。
ただ、数あるウクレレの中でピッチの精度が完璧な楽器なんて、そんなにありません(特にソプラノ)。スーパー職人が作る超高精度ピッチの楽器が買える人なんて、極まれです。
僕が持っている最高額のウクレレは約6万円ですが、それでもハイフレットを弾くとピッチがズレます。それはイコール、「フレット幅広く使うほど、ハーモニーやメロディー―が音痴になる」、ということ。
例えば、4弦_開放、3弦_5フレット、2弦_6フレット、1弦_5フレット、で「Gm7」を弾いたとすると、1弦の音がちょっと低くなってしまう。みたいな感じ。
では、どうすれば一般価格帯のウクレレでこれを解消できるのか、説明していきます。
まずは、ウクレレの精度を確認
自分の持っているウクレレで、各弦を開放弦でチューニングした後、押えるフレットをだんだん上げていって、どこからピッチがズレるか確認してみましょう。
フレット打ちの精度にもよるかもしれませんが、僕の経験的にピッチのズレは一方向的に大きくなっていきます。
開放弦でばっちりチューニングしたとすると、こんなイメージになると思います。
開放(ズレ0) < 5フレット(ズレ小) → 7フレット(ズレ中) → 10フレット(ズレ大)
ハイフレットにいくにつれて、ピッチが下がるのがわかるので、自分のウクレレでやってみてください。もしピッチが安定してチューナーのセンターを指し続けたら、それはものすごい精度の高い超優良楽器です。
かといって、ピッチがずれたら不良品というわけでもありません。多くの人が弾いているリーズナブルなウクレレのほとんどに、この現象があります。
続いて「どうやってこれを解消するか」という話。
自分が主に使うフレットの範囲でベストなピッチに合わせる
根本的に解決したかったら楽器屋さんに調整してもらうか、スーパー職人が作ったウクレレを買うしかありません。でも、現実的にハードルが高いですよ。
なので、全てのフレットで完璧にピッチを合わせるのは潔くあきらめましょう。
という事で、ピッチのズレが一方向的に大きくなることを利用して、ベストバランスに調整します。これをするだけで、よほど音感の鋭い人でなければ気付かないレベルに改善されます。
ベストバランスに合わせる手順
まず、自分が主に使うフレットの範囲を振り返ってみましょう。
High-Gで簡単なコード弾きしかしない人なら、5フレット以内に収まるでしょう。ソロウクレレをする人は、10フレット以上も頻繁に使うかもしれませんね。
この普段使いするときのハイフレットを、チューニング対象の最大範囲に決めます。ただし10フレット以上をチューニングのターゲットに考慮してしまうと、逆に低いフレットを弾いた時のピッチがおかしくなります。
なので、もちろん楽器の精度に寄りますが、最大でも10フレットをチューニング対象の最高フレットにするようおすすめします。
ちなみに僕はソロウクレレをするので、極まれに10~12フレットまで使うこともありますが、まぁ主に使うのは8フレットくらいまで。
なので、9フレット以上は対象から切り捨ててます。それでも開放弦だけで合わせるよりは、かなりましになります。
以降、僕場合を例に説明していきましょう。1弦を例に説明します。
1.開放弦でチューニングする
まず、いつものように開放弦「A」でチューニングしましょう。ここは一旦ビタっと完璧に合わせます。
2.最高フレットを弾いてピッチのズレを確認する
開放弦でチューニングをしたら、そのまま最高フレット(今回は8フレット「F」)を押さえて弾いてみましょう。チューナー表示で2メモリくらい下がりました。
※使用チューナーは「アリア ACT-SP クリップチューナー クロマチック」
3.ブレ幅の範囲内で開放弦と最高フレットを合わせる
最高フレット(8フレット)を弾いたら、チューナー表示2メモリ低くい。
これをジャストに合わせようと思うと、弦の張りを強くしないといけませんが、代わりに開放弦が2メモリ分高くなります。当たり前です。
そこで、どうせどこかのフレットが2メモリ分ズレるなら、その中で一番全体として”いい所”に合わせにいきます。
4.一番”いい所”を決める
チューニング対象に決めたフレット範囲に対して、確認したピッチズレ(今回は2メモリ)以内で調整します。
単純に考えれば真ん中を狙う。今回は2メモリ分ズレてましたよね。なので、開放を弾くと1メモリ高く、8フレットを弾くと1メモリ低く表示される弦の張りがちょうど中間。それもアリです。
ただ、それに加えて次の点を考えて微調整するのも効果的です。
・1弦(High-Gの場合は4弦も)はハイフレット重視で合わせる
ソロウクレレの場合に特に効果があります。例えば、中島みゆきの「糸」を想像してみてください。
「おーりーなーすーい~とは~、いーつーかーだーれ~かを~~(引用)」
サビの一番の盛り上がりポイントって、高音な場合が多いです。この最高音の「を~」が音痴だったら、嫌じゃないですか?
1弦(High-Gの場合は4弦も)は、高音域のメロディーに使われる機会が多い弦です。曲のサビメロディーはどうしても高音域が充てられがちなので、1弦(4弦)のハイフレットが音痴だと致命的です。
5.何か曲やフレーズを弾いて確認
ここまでの作業を1~4弦でやり切ったら、仕上げに普段自分がよく演奏している曲やコード、フレーズを弾いて、違和感が減ったことを確認しましょう。
必要に応じてさらに微調正 → 演奏して違和感確認 を繰り返します。
納得いったら完了です。
楽器全体のチューニングをしてもズレが気になる場合
あくまで僕の感覚ですが、ここまでやると1万円を超えるそこそこ良いウクレレなら、違和感はほぼ無くなります。
逆にこれをやっても違和感が残る場合は、自分の音感がめちゃめちゃ優れているか、単純にダメ楽器か、どちらかです。
楽器屋さんに調整してもらうか、自分の満足いくレベルの楽器に買い替えるしかありません。貯金しましょう。
まとめ
・開放弦でチューニングしただけではウクレレのチューニングは完璧ではない
・自分の使うフレットの範囲でベストバランスに調整する
・楽器全体のチューニングをしてもピッチずれを感じたら、楽器屋さんに調整してもらうか買い替え
という事でした。
ちなみに、このチューニング方法のオマケ的な効果ですが、自分のウクレレのクセがよくわかってきます。
そのうち、わざわざチューナーを使わなくても微調整ができるようになってくると、マイウクレレへの愛着も深まりますしね。
繰り返しますが、楽器にとってチューニングは一番大切な作業です。ピッチを良くして気持ちのいい演奏をしてください。
では、ウクレレラバーの皆さん、さようなら。