[ウクレレボサノバ講座]第3回。バチーダをより本格的にウクレレでやるために…
皆さんこんにちは。takaraです。
めげずに続けているこの企画、「ウクレレボサノバ講座」第3回です。お遊び無しのマジ企画なので、疲れる人もいるでしょう。僕も疲れます。が、意外とウクレレでボサノバやりたい、っていう人に出会う機会もあるので、頑張りますよ。ええ、頑張ります。
さて、前回はボサノバ演奏の肝である「バチーダ」について、導入部分をご紹介しました。
この記事からご覧になった人は、第2回をざっと読んでからのほうが、すっと内容が入ると思います。
実は前回、「バチーダを覚えよう」なーんつって、超ザックリで終わってまして、「こんなんで覚えられるわけないよなぁ」という自責の念にかられていましたよ。食事しか喉を通りませんでした。
という事で第3回は、ウクレレでバチーダをやるために必要な情報をしっかり紹介しようと思います。
ウクレレでバチーダをやるために
バチーダをウクレレでやる場合、ギターと違っていくつか意識しておくポイントがあります。
①チューニングはLow-G
②「ルート音が4弦」または「ルート音3弦かつ5度が4弦」のポジションのコードを覚える
③基本的に親指で4弦、人差し指・中指・薬指の3本で1~3弦、を弾くように配置する
(場合によっては親指で3弦を弾くときもある)
では、それぞれのポイントを詳しく説明していきましょう。
①チューニングはLow-Gにする
これはポイントというか、前提みたいなもんです。チューニングがLow-Gのウクレレを用意しましょう。親指でやるベースパート(スルドパート)を再現するにはHigh-Gチューニングでは若干ムリがあります。やっぱりベース音は少しでも低音がいいです。
補足しておくと、必ずしも「High-Gチューニングではボサノバがムリ」という訳ではありません。ボサの曲をHigh-Gでやっちゃうミュージシャンはプロ・アマ問わず沢山います。が、こと「バチーダ」という話になると、スルド感がほしいので、少しでも低音域を確保したい、という事です。
まぁ、そんなにしっかり雰囲気出したいならギターでやれよって話ですが、それは言わない約束です。
②コードのルート音が低音になるポジションを選ぶ
これ重要です。ウクレレを始めたときって、コードの構成音まで一つひとつ把握してコードを覚える事は無いと思います。ですが、バチーダをする時は、「コードの構成音をどの弦に割り当てるか」がめちゃ重要。
具体的には以下のコードを選択すること。
・ルート音が4弦に配置されたコード
・ルート音が3弦に配置され、かつ5度の音が4弦に配置されたコード
バチーダでの親指はスルドの役割と同時に演奏のベースパートを担います。そしてベースはそのコードのルート音を基軸に展開されるため、コード弾きする時はルート音を最低音に持ってくるのが基本になります。
「ルート音」はコードネームの頭のアルファベットの音です。例えば「Amaj7」なら、ルート音は「A(ラ)」ですね。ギターの場合、多くのコードブックに乗っているポジショニングは、ルート音が最低音に配置されています。でもウクレレのコードブックは必ずしもそうなっていないケースがあります。
ウクレレって、そもそも音域が超狭い(構成音の高低幅が狭い)のに加え、スタンダードチューニングであるHigh-Gは最低音弦が3弦、次に低いのが2弦ですからね。どっかの弦にルート音が入ってれば、ハーモニーとして比較的違和感なく成立してしまうんですよ。
なので、市販のコードブックに記載されたポジションを考えなしに選んで弾くと、4弦にルート音が無いケースが結構出てくるので注意が必要です。ルート音がなるべく低音の弦(最低でも3弦)に配置されたポジションのコードを選ぶようにしましょう。
ちなみに、「ルート音が3弦かつ、5度の音が4弦に配置されたコード」ですが、実は4弦の音が何度なのかは、いちいちそこまで意識しなくてOKです。なぜなら、3弦がルート音のポジションコードのほとんどで、4弦の音はそのコードの5度の音になっています。まれに例外もありますが、むしろ3弦ルート・4弦が5度以外のポジションを探すほうが難しいくらいです。
コードのポジションについては、また別の機会で詳しく紹介していきますんで、とりあえず「4弦か3弦にルート音があるコードを選ぶ」と覚えておきましょう。ちなみに、3弦・4弦がルートになるポジションの主なコードは、下の記事でも紹介してますから参考にどうぞ。
親指で4弦、人差し指・中指・薬指の3本で1~3弦、を弾く
これは第2回の参考動画でも説明していますが、改めてここでも説明しておきます。
親指は1弦、人差し指は3弦、中指は2弦、薬指は4弦に配置します。バチーダでの親指はスルド、人・中・薬指はタンボリンを担当します。各指の役割をまとめると、いかのようになります。
■親指の役割 …スルド、ベース音。1拍2拍の頭にボーン・ボーンと弾く
■人・中・薬指の役割 …タンボリン、その他の構成音。リズミカルなシンコペーションを弾く
ここで、鋭い人は疑問が出ると思います。
「3弦ルートのポジションで親指で4弦を弾いたら、ベース音(ルート音)にならないんじゃ?」
その通りです。3弦ルート(かつ4弦がコードの5度の音)の場合は、4弦の音はルート音じゃありませんよね。5度でしょ。じゃあベース音としてふさわしくないでしょ。となる訳です。
が、コレは大きな問題はありません。なぜなら、ベースは5度の音もよく使うから。ボサノバやサンバ系のバンド演奏を聞くと、ベース担当者はルート音と5度の音を交互に繰り返し弾いているのがわかります。コードの5度の音っていうのは、ベースパートにとってはルート音の次くらいに重要な音です。
さらに、ボサノバギター演奏の場合、あえて最低音にルートを配置せずに、分数コードを使って5度の音を最低音に持ってくるケースが多々あります。
例えば、ボサノバの代表曲「イパネマの娘」のAメロのコード進行は下の通り。(テンションは割愛)
Dmaj7 → E7 → Em7 → A7 → Dmaj7
コレを、ボサギターで弾き語る場合…
Dmaj7/A → E7/B → Em7/B → A7/B → Dmaj7/A
というように、分数コードを使って、あえて最低音にコードの5度の音を持ってくることで、ちょっと不思議な雰囲気を演出することがあります。かのジョアン・ジルベルトも多用しています。なので、3弦がルート(4弦が5度)のコードのときに、親指で4弦を弾いてもハーモニーにはそれほど影響しません。
ただ、どうしてもルート音をベースに持ってきたい場合は、4弦の音を捨てて、3弦を親指で、1弦・2弦をその他の指で弾くのも当然アリです。弦1本分ボリュームと音数が減るので、音圧は少し弱くなりますけどね。そこはトレードオフです。好みで選択しましょう。
分かりにくいと思うので、動画でも説明しておきましょう。
まとめ
さて、今回はウクレレでバチーダ(ボサ弾き)をするにあたってのポイントを紹介しました。おさらいです。
・チューニングはLow-G
・コードは、ルート音が4弦または3弦に配置されたポジションのコードを選ぶ
・親指は4弦でベースパート、人差し指は3弦・中指は2弦・薬指は4弦でリズムパートを刻む
次回は実際のバチーダのリズムパターンを色々紹介したいと思います。文字が多くて疲れたと思います。最後まで読んでくれた人、ありがとうございます。ではまた、さようなら。